新緑と雪、どちらも欲張りに。四季をまるごといただく谷川岳一ノ倉沢エコハイキング

アート・デザインをたっぷり楽しめる『白井屋ホテル』ですが、せっかく群馬に泊まりで来ていただいているからには、自然の魅力もぜひ体験してほしい! そんな想いから、プロフェッショナルの力を借りて、2021年の春より3種類のウェルネス・アクティビティメニューをスタートしました。今回詳しいレポートをお届けするのは、四季の移ろいを自らの足で歩いて感じる「エコハイキング」。行き先となるみなかみエリアは自然と人間社会の共生を目的にとしたプロジェクト、ユネスコ エコパークに登録されています。群馬の自然の楽しみ方を知り尽くしたガイドとともに、この時期しか味わえない新緑と雪の共演を見に、谷川岳の麓へ足を運びました。

多彩なコースが楽しめる百名山・谷川岳

今回ご用意しているアクティビティは、どれも『白井屋ホテル』の宿泊者限定のプログラム。身の回りの準備をしてホテル自慢の朝食でしっかり腹ごしらえをしたら、迎えの車に乗り込みましょう。朝9時、群馬県北部のみなかみ方面に向けて出発です。

ハイキングの出発地である『谷川岳インフォメーションセンター』は、『白井屋ホテル』からおよそ1時間半。高速のインターチェンジを降りると一気に視界内での緑の面積が増え、これから先の旅路に期待が高まります。ちなみに、道中には日本一のモグラ駅と言われる、土合駅(どあいえき)の前も通ります。下りのホームが群馬と新潟を結ぶ新清水トンネルの中にあり、駅舎からホームまで10分ほど階段を降りないと到達できない一風変わった駅として名所になっています。

地元で暮らすガイドの案内を聞いていたらあっという間に出発地点に到着。『谷川岳インフォメーションセンター』は、2021年5月オープンの谷川岳散策の新しい拠点です。

今日はマチガ沢出合から一ノ倉沢出合まで歩き、その後少し先の幽ノ沢出合を抜け、コーヒーを淹れるための湧水をすぐ近くにある水場で入手し、しばしのコーヒーブレイクを楽しみ、スタート地点に戻ってくる予定です。

ガイドによって広がるアウトドアの魅力

エコハイキングをガイドしてくれるのは、群馬県在住の登山ガイド、手嶋 常久さん。埼玉県出身ですが、アウトドアの魅力に取り憑かれ10年前に移住してきたそうです。四季折々のアウトドアアクティビティに精通している「外遊びのプロフェッショナル」で、プライベートツアーでは丸一日つきっきりでガイドしてくれます。

夏は水遊び、冬は雪遊び、そして年間通して登山のガイドをする手嶋さん。アウトドアの達人である地元民と行くハイキングは、いろいろな新しい発見をもたらしてくれるはずです。

頼もしいガイドが付いてくれているので大船に乗った気持ちで大丈夫ですが、ハイキングとは言え山を歩くので街着と同じ格好では何かと不便です。動きやすい服装に運動靴(トレッキングシューズまでは不要ですが、滑りにくく履きなれたものをおすすめします)、手ぶらで歩きたいので荷物を入れるリュックに、帽子と日焼け止めはマストでお持ちください。また、理由は後述しますがスポーツサンダルと小さなタオルがあるとなお良いです。

徒歩でのみ通ることができる国道に思いを馳せる

軽く体をほぐしたら早速出発。写真からも分かりますが、ほぼ登りなく舗装された道を歩くのでおしゃべりしながらでも余裕のらくらくルート。にもかかわらず、当然空気も美味しく、緑に包まれながら最高のリフレッシュを楽しめる欲張りなハイキングを満喫することが可能なんです。

登山ルートしてはかなり道がしっかりしているのは、実はこのルートは群馬前橋市から新潟県柏崎市までをつなぐ国道291号線で、1885年に開通(当時は国道8号として開通)した今も現役の国道だからです。しかし総延長188kmのうち、中央分水嶺上にある標高1450mの清水峠を挟んで約30kmは徒歩でしか通れない区間に指定されています。(実際には群馬県側は車で行けるのは谷川岳ロープウェイの土合口駅付近まで)。また、舗装されているのも途中までです。今回歩くのはほぼ舗装されている区間で、こんなに快適に歩けるなんてと、整備のありがたみをひしひしと感じるばかり。

国道291号線の起点は前橋市本町一丁目の交差点(現在は国道17号との重複区間)で、『白井屋ホテル』から歩いて1、2分の場所。ホテルからすぐの道が谷川岳に続き、難所である清水峠を抜けて新潟県に入り、日本海まで繋がっている……そんなロマンを感じながら歩いてみるのも一興かもしれません。

道の話を聞きながらふと視線を脇にやると石垣が。この石垣は明治時代に清水越として旧道を作った際に築造されたものだそう。歴史の積み重ねを感じます。

案内人がいないと見過ごしてしまいそうなこの光景から何が読み取れますか? 実は木にある動物の痕跡が。同じルートを歩いていてもガイドの有無によって見える景色が変わってきます。

厳しい気候の影響から標高1500m付近で森林限界となる谷川岳。そのため、比較的低い標高でも高山植物を観察できます。(このハイキングで歩くのは標高およそ800〜900mあたり)春は道中あちこちに花が咲いている様子を見ることができ、芽吹きの季節を感じられるはず。

ヤマツツジ

イワウチワ

一気に視界がひらけ、その目線の先には谷川岳の雄大な姿が。ここが第一の絶景スポット、マチガ沢出合。夏スキーと沢登りのメッカでもあり、雪渓によって山肌が水墨画のようにも見える、幻想的で剛健な姿はとても2000m弱の山に見えません。

谷川岳は頂上がほぼ同じ標高で、ふたつのピークを持つ双耳峰。マチガ沢出合から見て左のピークがトマノ耳(1963m)、右のピークがオキノ耳(1977m)。

また、道中至るところで、緑の隙間から山間に立派な送電線を見ることができます。よくぞこんな険しいところに…と驚きますが、新潟県小千谷市の信濃川発電所で生まれた電気を運んでいるそうです。その電気は何に使われているかというと……などなど、ガイドの手嶋さんによる谷川岳にまつわる豆知識クイズも楽しんでくださいね。

待ってました、お楽しみの絶景ランチ

アップダウンはないものの、出発地から一ノ倉沢までの道のりおよそ3.5kmを歩いてきたら、気づけばいい感じにお腹も減っているはず。一ノ倉沢の絶景を望みながら、お待ちかねのランチタイムにいただくのは谷川岳ドライブインで圧倒的人気を誇るパワー飯、「もち豚弁当」。

全国でも有数の養豚県である群馬のプライドを感じる、甘辛く煮たうまみたっぷりのもち豚の肉がこれでもか!とのったお弁当。「食べても食べても中から豚が湧いてくる」ほどボリューム満点!

ここまで歩いてきた疲労と絶景が何よりの調味料。一ノ倉沢は日本三大岩壁のひとつ(あとの2つは穂高岳の屏風岩と剣岳の大屏風岩。どこもクライマーの聖地です)で、谷間には夏場でも雪が残っていることも。どう登るのか皆目見当もつかないほどですが、ドラマチックにそびえたつ壁を見ていると、クライマーたちが惹かれる理由も分かる気がします。

一ノ倉沢の麓では、5月中旬でも高さ3mほどの雪壁を楽しむことができます。この景色こそがエコハイキングのハイライト!ハイキングアクティビティの申込期間が6月中旬までとわずかな期間なのも、新緑と雪を同じ視界の中で味わうこの贅沢な景色を見ることができるのが今だけだからなのです。ガイドの手嶋さんも、「新緑の季節のハイキングの行き先を一ノ倉沢にしたのも、雪と新緑をダブルで味わうことができるから」と言います。雪壁と言えば立山黒部の雪の大谷なども有名ですが、一ノ倉沢出合では手軽かつ自由に雪壁を楽しめるのが魅力です。

雪壁の背景にあまりにかっこいい一ノ倉沢がそびえたつのも圧巻です。

雪解けの季節に出現する滝もこのタイミングならではの景色。スケールの大きさを感じます。

谷川岳の湧き水で至高のコーヒーブレイク

雪壁のエリアを抜けると未舗装の道へと入り、一気にハイキング気分がアップ。広々として歩きやすいですが、足元に注意しながら進みます。道の勾配は相変わらずゆるいので食後でもゆうゆうと歩けるはずです。

一ノ倉出合から歩いて30分ほどで幽ノ沢出合に到着。沢の上に雪が固まっており、その上をそろりそろりと歩きました。知らずに歩くと危険なルートも、ガイドがしっかり先導してくれるので安心です。

幽ノ沢出合を越えてすぐ、大きなブナの木の根元から湧き水を汲めるスポット、「ブナのしずく」に到着。この後のお楽しみに向けて、おいしい水をいただいていきます。

身体を潤すクリアなみずみずしさは、自然からの贈り物。ちなみに『白井屋ホテル』で客室にご用意しているミネラルウォーター「雪花水」もみなかみ町が採水地。関東平野に注ぐ利根川の水は、この地から始まっています。

 

このスポットがハイキングの終着地点。ここから引き返して帰り道になります。実は戻るルートは2パターンあり、見どころ抜群の往路を引き返すコースか、湯檜曽(ゆびそ)川に沿って下るちょっとアドベンチャーなコースがあります。基本は往路の道を帰る予定ですが、お好みによってガイドに相談してみてください。

せっかくなので、少しアドベンチャーなコースで戻ることにしました。緑の中をぐんぐんかき分けトレッキング気分も味わえるのはまた魅力的で、どちらのルートも甲乙つけがたし!

帰り道の途中、いくつかあるひとやすみスポットのどこかで腰を下ろしたら、お待ちかねのコーヒーブレイクタイム。その場で手嶋さんがコーヒーを挽いてくれるとのことで、あたり一面にいい香りが広がります。そのコーヒーをさらに引き立てるのが、先程汲んできたばかりの湧き水です。口あたりよく雑味のない軟水で、コーヒーやお茶にとても合うのだそう。

どのスポットで休憩するかもガイドと相談しながらピックアップを。どこを選んでも抜群の景観で、自然に抱かれながらの最高のコーヒータイムが過ごせるはず。

ハイキングのゴールが近づいてきて名残惜しいですが、コーヒーを味わったら出発です。記事の序盤でスポーツサンダルの持参をおすすめしたのは、ルートや季節のタイミング次第では、沢を越える必要があるから。夏が近づくにつれて水の量は減っていくので大丈夫な日も増えてくるとのことですが、せっかく沢登りのメッカの麓ですから、自分の足でその水の冷たさを感じてみてはいかがでしょうか。

出発からおよそ5時間。スタート地点に戻ってきて、ハイライト続きのハイキングも一旦終了です。

プライベートツアーだからできる、小さなわがまま

無事に下山したらここからホテルもしくは駅までの移動の時間となりますが、ここは県内各地に温泉が湧く、「温泉大国」の群馬県。ハイキングで山の麓まで来ているなら、温泉に浸からずに帰宅だなんて許されないですよね。みなかみエリアだけでも「水上温泉」「湯檜曽温泉」「うのせ温泉」などなど、さまざまな温泉が待ち構えています。のんびりコースと言えど、頑張った体は労らないと!と、温泉に立ち寄るのもおすすめです。送迎込だからこそ、フレキシブルな対応も可能。ツアー申込後、事前に当日に向けてのリクエストなどもお伺いしますので、時間の許す限り楽しみ尽くしましょう。

みなかみ町の日帰り温泉「鈴森の湯」

さらに、いくらボリューム満点のお弁当を食べても甘いものは別腹!ということで、湯上がりはスイーツを頬張れば言うことなし。ユニークな名前が印象的な『大とろ牛乳』はソフトクリームとジェラートのいいとこ取りをしたような冷たいスイーツで、なめらかでさっぱりした口当たりなのに濃厚なミルク感もしっかり味わえます。

週末は行列ができるほどの大人気店。『大とろ牛乳』で使用している牛乳はもちろん群馬県産で、添加物不使用。

この日頂いたのは、新緑を彷彿とさせる季節限定メニューの抹茶ゼリー。季節によってさまざまなトッピングが登場するので、どんな味に出会えるかお楽しみに。一番人気は季節のフルーツだそう。

今後エコハイキングは時期によって県内の行き先を変えていく予定です。その季節ならではの景色が楽しめる場所をガイドとともにセレクトしていきますので、何度参加してもそのたびに新たな感動に出会えるはずです。新緑と雪壁が織りなす雄大な景色が圧巻の谷川岳一ノ倉沢でのハイキングは6月中旬までの予定のため、お見逃しなく。今だけの贅沢を味わいに、ぜひご参加ください。

INFORMATION

開催期間:2021年5月21日(金)〜6月中旬
所用時間:7時間程度
料金:1グループ(1〜3名)¥40,000、4名様以上追加料金 ¥12,000 / 1名様
※お子様は小学生以上から参加可能。同料金。
予約受付:アクティビティに参加ご希望の方は、CONTACTよりお申し込みください。
※予約状況により、ご希望の日程でご予約を受け付けられない場合がございます。ご了承ください。
HIKING|【公式】SHIROIYA HOTEL

 

立ち寄りスポット情報
菓子工房 大とろ牛乳
住所 群馬県利根郡みなかみ町小仁田265-1
営業時間 平日11:00 – 17:00 土日祝祭日10:00 – 17:30 ※売切れ次第終了
定休日 火曜日

 

みなかみ町の日帰り温泉「鈴森の湯」
住所 群馬県利根郡みなかみ町小仁田265-1
営業時間 平日11:00 – 20:00(最終19時)祝日:11:00 – 20:00(最終19時)※季節によって変動有り
定休日 不定休 ※公式サイトにて確認ください
料金 大人800円、小学生 500円(2時間・入湯税/消費税込)

 

Text / Ayumi Yagi
Photo / Mikiko Zenitaka

 

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