LEANDRO ERLICH / レアンドロ・エルリッヒ

Lighting Pipes

 

2020

レアンドロ・エルリッヒ(Leandro Erlich)はアルゼンチン出身で、日本で最も知られている現代アーティストの一人である。これまでローマ市立現代美術館(イタリア)やMoMA PS1(NY,アメリカ)などで個展を開催し、国内では金沢21世紀美術館(金沢)に恒久設置された《スイミング・プール》を制作している。また2017年に開催した森美術館(東京)での個展では延べ61万人の動員を記録した。
エルリッヒはこれまで、視覚的な錯覚や音響効果を用いた映像表現、空間全体を作品に変容させる大型インスタレーションなどを展開してきた。見慣れた風景を一転させ、見るものに驚きと違和感を覚えさせる彼の作品は、「この世界はどのようなものなのか、どのように私たちはモノを見るのか」という問いを鑑賞者に投げかける。
《Lighting Pipes》は、このホテルの改築を手掛けた藤本壮介氏の「歴史を維持しながら、そこに新しい何かを創りあげる」という発想に共感したエルリッヒが、この場所のために制作した作品だ。天井まで伸びる光る配管は、イタロ・カルヴィーノの小説『見えない都市』にでてくる配管や電線管だけが視認できる透明な建物から着想を得、それらの配管を建物内に張り巡らされた「目に見えない生き物の静脈」をイメージしたとエルリッヒは語る。それはまるで、この場所に昔からいる精霊のような存在として、この土地で営まれてきた人々の暮らしや歴史と、街のシンボルとして新たに生まれ変わったSHIROIYA HOTELをどこまでも伸びるパイプによってつないでいるかのようだ。

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