2022.08.28

MUSIC

Weekend Live at SHIROIYA Vol.2

2022年8⽉28⽇(⽇)。⽩井屋ホテルにて、『⾳楽との出会い「Weekend Live at SHIROIYA Vol.2」』が開催されました。

「Weekend Live at SHIROIYA」は週末の午後、緑あふれる「ザ・ラウンジ」で、⾳楽、⾷、アートをゆっくりとお楽しみいただくためのプログラム。⽩井屋ホテルが⾳楽のスペシャリストの「CREATIVESCAPE」、「⽣活と⾳楽」と共に企画した、吹き抜け 構造による「⾃然な響き」を活かした贅沢な⾳楽イベントです。 第2回となる今回は、⽇本ポストクラシカル界を席巻する⾳楽家、内⽥輝(うちだあきら)⽒。 ⽒はいわゆる楽器を演奏するのみならず。⾃ら楽器を制作し、⾳を調律し、また⾳のワークショップを定期的に開催するなど、⾳楽の根源に深くコミットした活動で知られています。

この⽇使われたのは、3つの楽器。⽩井屋ホテルに鎮座するスタインウェイ&サンズのピアノ、ソプラノサックス、そして⾃作のクラヴィコードです。これらを⼿繰りながら、「過去と現在、そして未来」をテーマに、実験的なライブが⾏われました。

ところで、みなさんはクラヴィコードという楽器をご存知でしょうか? “タンジェント”と呼ばれる⾦具を⽤い、弦を突き上げることで⾳を奏でる鍵盤楽器。⽣まれたのは14〜15世紀、「ピアノの原型」 とも⾔われる伝統の楽器ゆえ、演奏されるのはバッハ以前、ルネサンス期に書かれた曲がほとんど。 そんな中、内⽥⽒はあえてオリジナルの楽曲を演奏。さらにクラヴィコードそのものまで⾃作するという、オルタナティブな表現を選ばれています。 さらに素材は、京都・清⽔寺の⼤修理の際、かの有名な「清⽔の舞台」の張り替えで出た古い床板を⽤いて製作したという、たい へん貴重なもの。 伝統を尊び⽣かしながら、新しい時代の道へと突き進む⼿綱はゆるめない。そんな⽒の姿勢は、300年以上の歴史を持つホテルを ⼤胆にリノベーションした⽩井屋ホテルと、どこかシンクロする気がします。

「⼈に対してというよりも、何かに捧げるような⾳楽」と内⽥⽒が表す通り、遠くから何かを呼び覚まさすような、神々しいサックスの⾳⾊が響き渡ります。 やがて、ピアノへ。流麗なメロディがひとつの残響となって包まれ、やがて吹き抜けの空間へと⽴ち上っていくよう。そんな独特 の空気を醸す演奏に、周りを取り囲む観客も、たちまち⼼を奪われています。 そして、いよいよクラヴィコードの登場です。

⽤意されたのは、2つのクラヴィコード。ひとつはヒノキ、もうひとつはスギでできており、それぞれの⽊材を通して奏でられる、繊細な⾳の違いを楽しむ曲を披露しました。

この⽇に供されたフードは、濃縮し洗練されたフルーツそのもの!パティスリー特製ジェラート盛り合わせ、もしくはラウンジ特製ポテチ&ジャーキー盛り合わせをチョイス。シーズニングの複雑さ、うねるパンチ⼒!⾹ばしいクセがお酒を誘います。 ドリンクは、ビールやワイン、⽩井屋ウイスキーで割ったハイボールなどのアルコール、また⽩井屋オリジナルコーラ、⾃家製レ モネード、⽩井屋モヒートといった、ノンアルコールも充実しています。素材の味がこよなく⽣かされた、ハイクオリティな飲⾷を楽しめるのも、この会の魅⼒と⾔えるでしょう。

徐々に夜の帳が降り始める頃、いよいよ第2部へ。 ステージのイメージは、前橋から⼀気に屋久島へ⾶びます。現地に訪れたとき、内⽥⽒が感じた多様な⾬のかたち、さまざまな表情で降りしきる情景を思い描きながら、クラヴィコードの演奏が繰り広げられました。 カトラリーの物⾳に忍び寄る、⿃の鳴き声。レストランの洗練された⾳と、深い⾃然に包まれているような⾳が交錯。設えた緊張 感と同居しています。製氷機の「ガラン」という⾳ですら、あたかも⾃然の⾳のように感じる。混じり合い、求めあう。なんとも不思議な感覚に陥ります。 ふだんあまり作ることのできない、内省に耽るひとときを味わいました。

「この前橋という街はけっこう寂れているように⾒えて、商店街のところどころで若い⼈がポップアップショップを開くなどして、頑張っている。そんな彼らにとって⽩井屋ホテルが、聖地となるような場所であって欲しいなと思います。建築は教会のようでもありますし、みんなが集まって、芸術的な話をすることが許されるような。⾃分を解放できる場所なんだと思います」

内田輝

Profile

内田輝 https://akira-uchida.jp/

音楽大学卒業後サックス奏者として活動。その後ピアノ調律師とチェンバロ製作家に師事して14世紀に考案 されたクラヴィコード (鍵盤楽器) を製作する。自ら楽器を作り、音を調律し、音楽家であること、この流れから音を響かせたいと思っている。

 

Text / Mitsuharu Yamamura

Photo / Akihisa Yamaguchi

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