武田 鉄平 / TEPPEI TAKEDA

絵画のための絵画020

2019

 

1978年、山形県山形市生まれ。2001年に武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、2005年に地元山形に帰郷し、東北芸術工科大学にて樹脂、木工を学ぶ。同年より山形にアトリエを構え、2013年より現在のコンセプトにて絵画制作を開始。10年以上人知れず絵画に取り組み、2016年の初めての個展「絵画と絵画、その絵画とその絵画」(KUGURU、山形市)を開催、2019年には初の作品集「PAINTINGS OF PAINTINGS」(ユナイテッドヴァガボンズ刊)の刊行と同時に東京のMAHO KUBOTA GALLERYで個展を開催し、大きな注目を集めた。

武田は、「絵画」を描く画家である。絵筆につけた絵の具が画面の上で決まるという感覚。理想とする色彩や絵画空間が生まれるこの瞬間は、画家にとって何にも代えがたい瞬間であろう。そして、鑑賞者も同様に画家の筆致を追想し、二度と再現されえない瞬間の積み重ねによって完成された一枚の絵画に魅了される。武田は、絵画史のなかでも最もオーソドックスな形式ともいえる肖像画を題材にするが、描かれた人物は誰かと特定できるものではなく、強く抽象化されている。一見するとキャンバスに多量の油絵の具を用い、乾ききる前に大きな筆で描いたようなスピード感のある作品に見える。しかし、近づいてよく見るとそれらはすべて精緻に描かれていることに気づく。武田の制作プロセスは、同様のイメージを20枚から50枚描き上げ、その中から1枚を選び取り、その絵をもとに新しいキャンバスに精緻に描き上げる。すなわち一度完成された絵画を描いているのだ。ほんの一瞬で描かれたように見える一枚の中に、計り知れない時間が蓄積されている。写真の発明以後、何度も繰り返された「絵画の死」。それでもなお、絵画を描くことで問いを続ける武田の作品を見ることは「描くこと」「見ること」の意味を問い、絵画の歴史に向かい合う行為でもある。

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