LIAM GILLICK / リアム・ギリック

(左)Inverted Discussion  / 2020

(右)Unity Channelled / 2019

 

リアム・ギリック (Liam Gillick)は1964年にイギリスに生まれ、現在はニューヨークにて制作活動を行っている。これまで、第53回ヴェニス・ビエンナーレにドイツ館代表作家として参加した他、第10回ドクメンタ、ベルリン・ビエンナーレ、イスタンブール・ビエン ナーレなど重要な国際展に多数参加している。ギリックは、プラスチックやアルミニウムを用いた彫刻やインスタレーションなどの作品でよく知られているが、その活動領域は建築やグラフィックデザイン、映画制作や執筆活動にまで広がる。また、近年では特に現代社会における芸術と労働の関係性や、そのシステムなどに興味を向け制作を行っている。

《Unity Channelled》と《Inverted Discussion》はそれぞれ乗り手を乗せて回転する馬のイメージと、カラフルなボックス型の構造物を一つの地平線上に配置した作品である。《Unity Channelled》はギリックが新自由主義における美学の批判として長らく展開してきた、革新、回復、そして果てしなく続く開発のプロセスなどの抽象的なシステムの可能性を、工業製品のような構造物として表し、《Inverted Discussion》は、同じルール上で回転し続けるというシンプルな動作のなかで、抽象化に適用されるための理論の追求を(概念的な再処理を)、逆さまの馬のイメージとして示している。

これらの作品はギリックの個展「馬らしさはあらゆる馬の本質である」(TARO NASU,東京)に出展された作品である。個展のタイトルはジェイムス・ジョイス(James Joyce)の小説『ユリシーズ』から引用されたもので、その説明としてギリックは、次の一文を挙げている:
「(物事の本質とその存在の区別は)アーティストが芸術作品の美に到達するために、心に留めておかなければならないものだ。」(ラファエル・I・ガルシア・レオン(Rafael I. García León),『Reading Ulysses at a Gallop(ギャロップでユリシーズを読む)』)
《Inverted Discussion》が示すのは文中の「物事の本質」であり、芸術における本質の追求の限界を、前に進むことのない回転する馬たちによって描き、一方で《Unity Channelled》との出会いによって開かれる、現代的な抽象表現の可能性を表していると言えるだろう。

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