現代美術家 宮島達男・SPECIAL INTERVIEW

訪れる人々の新しい記憶、素晴らしい思い出になっていくことを願って

前橋という街を訪れてどのような第一印象を持たれましたか。また、その後も足を運ばれる中で、街についてどのようなに感じられましたか。

 

昭和レトロな街というのが第一印象。その後、街歩きをすると、古いだけではない発見があちこちにあって
都市ならではの迷宮的要素が満載。探検すればするほど広がりのある魅力的な場所だと思いました。

恒久設置のサイトスペシフィックな作品を制作されるうえで重要視されていること、また美術館などでの展覧会で作品を展示される場合と異なる点などについて教えてください。

 

一般に、私がサイトスペシフィックな作品を作るときは、「その場所でなければ味わえない世界にたった一つの場所を」と考えて作ってきています。美術館などのホワイトキューブで展示される作品は、その作品を切り出して別の場所に移動させても「質」的に変化がないように考えて作っています。つまり、自己完結している作品がほとんどです。逆に、サイトスペシフィックな作品の場合、場所の持っているコンテキスト、地域性、歴史性、風土、人々など、さまざまな要素と関係を持つように心がけています。

白井屋ホテルのシェッドという空間における作品設置に向けて、どのように構想されていったのでしょうか。

 

もともとすでに存在している作品を、設置場所に合わせて再設置するという仕事はそんなに多くありません。そこで、場所を実際に見て、空間を感じながら再設置の構想を固めていきました。案外狭い空間に作品が入るので、視点を低くして見る方が広がりが出ると判断。なので、床に直座りするのが良いと思いました。また、座って温かみのある材が良いと思い杉材を使いました。さらに、内部の作品のため、もともとあった窓を塞ぎ壁を作る必要がありました。ところが、外側から見た場合、窓が塞がれてしまい、変な感じになってしまったのです。そこで、この余剰とも言える空間にネオン作品を設置することを思いついたのでした。しかし、結果的に、この窓空間のネオン作品が、このサイトのランドマーク的な作用を発揮することになりました。

今回のインスタレーション、プロジェクトを振り返って感じられたこと、また今後、作品が前橋という街、そして白井屋ホテルに在り続けていくことについての思いをお聞かせください。

 

今回、既存作品の再設置という作業でしたが、結果的に、建築との対話や、街とサイトとの関係性が生まれ、貴重な経験ができました。これから、作品が、前橋という街やサイトと関係しながら、白井屋ホテルを訪れる人々の新しい記憶、素晴らしい思い出になっていくことを願っています。

宮島達男

(1957年東京生まれ・茨城在住) 1986年東京藝術大学大学院修了。1988年ヴェネツィア・ビエンナーレ 新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会やパブリックアートを展開している。近年の主な個展としては、「Connect with Everything」(シドニー現代美術館、2016年)、「Unfinished: Thoughts Left Visible」(The MET Breuer/ニューヨーク、2016年)、「Being Coming」(民生現代美術館/上海、2019)、 「Sky of Time」(Espoo Museum of Modern Art, EMMA/フィンランド、2019)、「クロニクル1995-202」(千葉市美術館、2020年)。第71回芸術選奨の文部科学大臣賞受賞(2020)。

 

text・interview / Hiromi Kitazawa

movie / Noriaki Okamoto

photo / Shinya Kigure

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